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前回は、会社四季報オンラインでPBR1倍以下の企業を調べ、「PBRが低い=そのまま買いとは限らない」ということを確認しました。今回はその反対側です。

同じ表示項目のまま、今度はPBRが高い順に企業を並べ、上位60社を見てみました。高PBRというと「株価が高すぎる」「割高なのでは?」と感じますが、実際には高い収益性や成長期待が株価に織り込まれている企業もあります。
この記事でも、PBRだけで買い・売りを決めることはしません。PBR、ROE、PER、営業利益・当期利益の予想を並べて、「なぜ市場から高く評価されているのか」を考えていきます。
そもそもPBRが低い・高いとは?
PBR(株価純資産倍率)は「株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)」で計算します。PBR1倍なら株価とBPSがおおむね同水準、1倍未満なら株価がBPSを下回り、1倍超なら株価がBPSを上回っている状態です。
PBRが低い場合
純資産に対して株価が低く、数字だけなら割安に見えます。ただし、収益性や成長期待が低いため市場評価が低いケースもあり、「低いほど良い」とは限りません。
PBRが高い場合
純資産に対して株価が高く評価されています。高ROE、高い利益成長、将来の成長期待、ブランド・技術・人的資本など、貸借対照表の純資産だけでは捉えにくい価値が評価されている場合があります。一方、期待が大きいほど、業績が期待に届かなかった際に評価が縮小するリスクもあります。
今回の見方|絞り込みを増やさずPBRの高い順に見る
今回は、低PBR編と同じ表示項目を使い、PBR(直近Q)の高い順に並べました。1株利益、営業利益増減率、当期利益増減率、ROE、PERは、企業を除外するためではなく、高PBRの背景を見るための参考項目です。

PBRが特に高い10社を見てみる
| 銘柄 | 株価(円) | PBR | ROE 前期→今期(%) | PER | PBR1倍参考株価(概算) |
| VRAIN Solution | 4,710 | 23.38 | 31.25→46.50 | 49.78 | 201円 |
| アストロスケールHD | 1,153 | 12.74 | -92.91→-131.91 | ― | 91円 |
| JACリクルートメント | 1,049 | 7.64 | 37.59→38.48 | 20.21 | 137円 |
| カウリス | 1,694 | 7.06 | 16.66→21.13 | 31.60 | 240円 |
| SAAF HD | 319 | 6.96 | 18.83→6.14 | 52.29 | 46円 |
| フィットイージー | 2,788 | 6.88 | 25.98→42.51 | 18.61 | 405円 |
| UTグループ | 241 | 5.47 | 28.20→28.13 | 20.42 | 44円 |
| SDSホールディングス | 247 | 5.02 | -11.65→0.85 | 494.00 | 49円 |
| Will Smart | 651 | 4.83 | -13,833.34→1,333.33 | 35.18 | 135円 |
| ジンジブ | 915 | 4.55 | 31.70→60.97 | 7.59 | 201円 |
※株価・PBR・ROE・PERは、2026年9月22日にユーザーが会社四季報オンラインで確認した表示値。PBR1倍参考株価は「現在株価÷現在PBR」でBPSを概算したものです。丸め誤差があります。極端なROEは自己資本が小さい場合などにも生じるため、数値の大きさだけでは評価しません。

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PBRから「理論株価」は出せる? 高PBR側でもPBR1倍を基準にしてみる
低PBR編と同じように、高PBR側でも「現在株価÷現在PBR」でBPSを概算し、PBR1倍になった場合の参考株価を計算できます。ただし、これは適正株価や下落目標ではありません。
たとえばVRAIN Solutionは、今回の画面では株価4,710円、PBR23.38倍です。BPSの概算は約201円で、PBR1倍参考株価も約201円になります。しかし、だから株価が201円まで下がるべきだという意味ではありません。高い収益性や成長期待などにより、純資産を大きく上回る評価が続く企業はあります。
高PBR企業ではむしろ、「なぜ市場はBPSの何倍もの価格を付けているのか」「その評価を支える利益成長やROEが続くのか」を見るための比較軸として使う方が自然です。

60社を見て感じたこと|高PBRにも中身の違う企業が混ざっている
高PBR上位には、ROEが高く利益成長も見込まれている企業がある一方、赤字や極端なROEを伴う企業もあります。たとえばVRAIN SolutionはPBR23.38倍・今期ROE46.50%、JACリクルートメントはPBR7.64倍・今期ROE38.48%です。一方、アストロスケールHDは今回の画面でROEが大幅なマイナスです。
つまり、「PBRが高い=優良企業」でも「PBRが高い=割高で危険」でもありません。市場が何を期待しているのか、その期待に利益や資本効率が追いついているのかを分けて見る必要があります。
個人的に気になった3社
ここでも「おすすめ銘柄」ではなく、60社の数字と直近の公開情報から、なぜ高いPBRが付いているのかをもう少し調べたくなった3社を挙げます。買い推奨ではありません。
① VRAIN Solution(135A)
四季報画面では株価4,710円、PBR23.38倍、ROEは31.25%→46.50%、PER49.78倍。営業利益増減率も前期→今期予+58.64%、今期予→来期予+51.72%と、高い成長予想が並んでいます。PBR1倍参考株価は約201円です。
同社は製造業向けAIソリューションを提供し、AI外観検査やDXコンサルティングを展開しています。公式サイトではDXコンサルティングのリピート率90%以上としています。高PBRは大きな成長期待を織り込んでいると考えられるため、今後も高い成長率を維持できるかが重要な確認点です。
② JACリクルートメント(2124)
四季報画面では株価1,049円、PBR7.64倍、ROEは37.59%→38.48%、PER20.21倍。営業利益増減率は前期→今期予+7.84%、今期予→来期予+11.11%です。PBR1倍参考株価は約137円です。
公式IRによると2025年12月期は売上高が前年比17.7%増、営業利益が28.5%増、親会社株主に帰属する当期純利益が49.7%増でした。2026年12月期も売上高532億円、営業利益126億円を予想しています。高いROEと利益水準が市場評価を支えている可能性があり、今後は人材需要や利益成長の持続性を見たい会社です。
③ 日本M&Aセンターホールディングス(2127)
上位60社の12番目に位置し、四季報画面では株価656.7円、PBR4.38倍、ROEは24.88%→26.70%、PER16.50倍。営業利益増減率は前期→今期予+2.87%、今期予→来期予+8.80%です。PBR1倍参考株価は約150円です。
M&A仲介・支援を中心とする企業で、PBRは高いもののROEも20%台と高い水準です。高PBR企業を見るときに「純資産に対して高く買われている」だけでなく、「資本を使ってどれだけ利益を生み出しているか」を一緒に見る意味が分かりやすい例として、もう少し追ってみたいと感じました。
高PBR企業を見るときに次に確認したいこと
高PBR企業では、ROEの高さ、利益成長率、その成長が一時的ではないか、PERとのバランス、事業の競争力、将来の市場規模などを確認したいところです。PBRが高い企業ほど「現在の純資産」より「将来生み出す利益」への期待が価格に含まれていることがあるため、その期待が数字で裏付けられているかが重要になります。
低PBR編と高PBR編を並べると、PBRだけで企業の良し悪しを決める難しさが見えてきます。今後、PER・PBRなど各指標を一通り見たあとに、PBR×ROEのように複数指標を組み合わせると、さらに企業の違いを整理しやすくなりそうです。
まとめ
PBRが高い企業には、高ROE・高成長が市場から評価されている企業がある一方、赤字企業や数字が大きく振れる企業も含まれていました。PBR1倍参考株価と現在株価には非常に大きな差が出る場合がありますが、その差をそのまま『割高幅』や『下落余地』と考えることはできません。
低PBRでは「なぜ安く評価されているのか」、高PBRでは「なぜ高く評価されているのか」。PBRは答えを出す数字というより、企業をもう一段深く調べるための入口として使う方が、投資初心者の私には分かりやすいと感じました。


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