配当利回り4%以上の株を探していると、「PERが低いほどお得なのでは?」と考えたくなります。しかし、株価が安く見える理由と配当が高く見える理由は別々です。利益が安定している企業もあれば、業績の悪化を市場が警戒して株価が下がっている企業もあります。
四季報オンラインでPER10倍以下・配当利回り4%以上を組み合わせると212社、PER20倍以上・配当利回り4%以上は101社でした。この記事では「高配当」という共通条件の下で、利益の質、来期の見通し、配当の持続性を読み比べます。
結論を先に言うと、PERは投資候補を整理するための入口です。配当利回りも株価と配当予想によって動きます。2指標だけで購入を決めず、決算短信・会社予想・配当方針まで確認することが重要です。
調査方法:スクリーニング条件と読み方
| グループ | PER(今期) | 配当利回り(今期) | 該当数 |
| 低PER×高配当 | 10倍以下 | 4%以上 | 212社 |
| 高PER×高配当 | 20倍以上 | 4%以上 | 101社 |
出典:ユーザー提供の四季報オンラインの2026年10月10日表示画面。検索式は「PER条件 AND 配当利回り条件」。PER10倍超20倍未満の銘柄は今回の比較対象外です。該当数は検索時点の件数であり、全社を個別検証したわけではありません。
PERは株価÷1株当たり利益(EPS)で計算され、利益が小さくなると高くなりやすい指標です。一方、配当利回りは年間配当÷株価です。利回りが高い場合、増配だけでなく株価下落が原因の可能性もあります。低配当の場合も、無配と少額配当では企業の方針が異なります。
以下の銘柄数値は提供画面に表示された値です。掲載時点の株価や最新IRを照合した数値ではありません。営業利益増減率の「来期」は、画面の「今期予→来期予」を指します。
低PER×高配当212社:利回りと割安感が重なる企業をどう見るか
低PERと高配当が重なると、利益に対して株価が安く、株主還元も手厚いように見えます。ただし、企業ごとに稼ぐ仕組みや景気感応度が違うため、数字の大小だけで優劣はつきません。
| 銘柄 | PER | 配当利回り | PBR | 来期営業利益増減率 |
| エイチワン(5989) | 3.60倍 | 5.01% | 0.47倍 | +6.25% |
| ケイアイスター不動産(3465) | 5.05倍 | 4.87% | 1.25倍 | +7.53% |
| FPG(7148) | 7.37倍 | 6.75% | 2.27倍 | +19.78% |
| LAHD(2986) | 5.50倍 | 6.25% | 2.16倍 | +6.85% |

エイチワン(5989):低PBRの理由まで確認
PER3.60倍、PBR0.47倍、利回り5.01%です。営業利益増減率は前期→今期予+9.22%、今期予→来期予+6.25%で、画面上は増益予想が続いています。単純に見ると割安・高配当・増益の3条件がそろいます。
ただし、製造業では原材料費、取引先の生産動向、設備投資の負担が利益を左右します。PBRが1倍未満なのは資産に対して株価が低いという事実であって、資産の収益性が十分という意味ではありません。直近の営業CF、設備投資、配当性向を併せて調べたい企業です。
ケイアイスター不動産(3465):ROEが高くても景気リスクは残る
PER5.05倍、利回り4.87%、今期ROE26.37%。営業利益は前期→今期予+27.80%、今期予→来期予+7.53%と表示されています。ROEの高さは魅力ですが、自己資本に対する利益率が高いことと、利益が景気後退期にも維持できることは別問題です。
住宅関連は金利、土地仕入れ、在庫回転、販売価格の変化を受けます。特に販売が鈍化したとき、在庫と借入の負担がどの程度利益を圧迫するかを見たいところです。配当利回りだけでなく、配当原資となる現金の動きにも注目します。
FPG(7148):高い利回りと成長率を同時に評価しない
PER7.37倍、利回り6.75%、今期ROE32.42%、PBR2.27倍。来期営業利益増減率は+19.78%です。今回の掲載例では利回りが高く、来期の成長予想も比較的大きい銘柄です。
ただし、事業の案件組成や販売時期により利益が変動する可能性があります。高ROEは高い利益効率を示す一方、資本構成によっても動きます。利益がどの時点で計上されるのか、配当方針が継続的かを調べることで、利回りの見え方が変わります。
LAHD(2986):利回り6%台でも利益の伸び方は違う
PER5.50倍、配当利回り6.25%、PBR2.16倍。営業利益増減率は前期→今期予+74.58%に対し、今期予→来期予+6.85%です。直近の大幅増益と来期の伸び率には差があります。
このような企業は、前期から今期にかけての増益が一時的な回復なのか、来期も高い利益水準を保てるのかを区別する必要があります。利益成長率だけを横並びにすると、増益の起点が異なる企業を誤比較しかねません。
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高PER×高配当101社:高い評価と高い利回りは両立する?
高PERと高配当の組み合わせは一見不思議です。利益が小さいためPERが上がる一方、配当は維持されているケースや、成長期待が株価に織り込まれているケースが考えられます。ここでは営業利益と純利益の差にも注目します。
| 銘柄 | PER | 配当利回り | PBR | 今期ROE |
| タマホーム(1419) | 36.12倍 | 4.60% | 2.75倍 | 7.75% |
| UTグループ(2146) | 20.76倍 | 5.14% | 5.52倍 | 28.13% |
| ケア21(2373) | 125.00倍 | 4.00% | 1.23倍 | 1.13% |
| メンバーズ(2130) | 62.32倍 | 5.01% | 1.50倍 | 2.25% |
タマホーム(1419):利益回復を期待する評価なのか
PER36.12倍、利回り4.60%、今期ROE7.75%。営業利益増減率は前期→今期予+17.12%、今期予→来期予+20.00%です。増益予想がある一方、PERは低くありません。
PERが高いのは成長期待だけとは限りません。過去の利益水準に比べて今期利益が小さければ、株価が変わらなくてもPERは高くなります。受注・引き渡し・粗利率の動向と、配当予想の根拠を確認する必要があります。
UTグループ(2146):ROEが高くても評価倍率に注意
PER20.76倍、利回り5.14%、PBR5.52倍、今期ROE28.13%。来期営業利益増減率は+2.56%です。高ROEは収益効率の高さを示しますが、PBRも高く、株価が将来の利益を先取りしている可能性があります。
来期の営業利益成長率が小さい局面では、利益の持続性と配当の継続可能性を分けて検討したいところです。ROEだけでなく、自己資本の規模と営業CFの推移も必要です。
ケア21(2373):営業利益が伸びてもPERが高くなる理由
PER125.00倍、利回り4.00%。営業利益増減率は前期→今期予+33.92%、今期予→来期予+14.28%ですが、当期純利益増減率(前期→今期予)は-86.98%です。営業利益と純利益の方向が大きく異なります。
PERは純利益から計算されるため、営業利益が増えていても純利益が細れば高く表示されます。特別損益・税金・金利負担など、何が差を生んだかを確認しないまま「125倍だから割高」と結論づけるのは避けたいところです。
メンバーズ(2130):利益の反動増をどう読むか
PER62.32倍、利回り5.01%、PBR1.50倍、今期ROE2.25%。営業利益増減率は前期→今期予-87.50%、今期予→来期予+900.00%と表示されています。
翌期の+900%は強烈ですが、今期の利益水準が大きく落ち込んでいるため、低い基準からの回復率が大きくなっている可能性があります。営業利益の絶対額、過去数年の平均利益、配当原資を確かめないと、成長株とも高配当の安定株とも評価できません。

高配当株で失敗しないための6つの確認
① 利回り上昇の理由
年間配当が増えたのか、株価が下落したのかを分けます。配当が据え置きでも株価が下がれば利回りは上昇します。
② 配当性向と利益の余裕
配当総額が利益に対して大きすぎないか、単年度の特殊利益に依存していないかを確認します。
③ 営業キャッシュフロー
会計上の利益が出ていても現金が伴わなければ、配当維持の負担が増すことがあります。
④ 来期だけでなく複数年の利益
今期が特殊な増益・減益でないか、3〜5年の営業利益額を見ます。
⑤ ROE・PBRの組み合わせ
ROEが高い理由が本業の強さか、自己資本の薄さかを確認します。
⑥ 業種の違い
住宅・製造・金融など、金利や景気変動への反応は異なります。業種の違うPERを単純に順位づけしません。

自分で確認するときの具体的な手順
最初に、スクリーニング結果から気になる銘柄を3〜5社だけ選びます。次に各社の決算短信で営業利益・当期純利益の実額を確認し、過去数年の推移を並べます。最後に配当方針、営業キャッシュフロー、財務状況を確認します。この順序なら、いきなり何百社も読む必要はありません。
企業を比較する際は、PERの低さ・高さを結論にせず、「今期の利益が平常時より高い/低いのではないか」「配当の原資は十分か」「株価にどの程度の期待が含まれるか」という仮説を立てると、調べるべき情報が明確になります。
よくある質問
高配当なら長期保有しても安心?
いいえ。減配や株価下落の可能性があります。利益と営業CFが継続しているか、配当方針に無理がないかが重要です。
PERが低い銘柄のほうが安全?
一概には言えません。市場が将来の減益を警戒している場合や、一時利益でPERが低くなっている場合があります。
利回りが6%を超えたら買い時?
利回りだけでは判断できません。配当額が維持されるか、株価下落で見かけ上高くなっていないかを確認します。
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まとめ
低PER×高配当212社は、割安感と配当の両方を調べる入口になります。ただし、利益が循環的に増減する企業では、低PERが将来の減益を反映している可能性があります。高PER×高配当101社では、利益が小さいことによる高PERと、成長期待による高PERを区別する必要があります。高配当株を選ぶときは、利回りだけでなく、営業利益の実額、純利益、配当性向、営業CFをセットで確認しましょう。
※本記事は情報提供を目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資には元本割れ等のリスクがあります。掲載値は2026年10月10日の提供画面に基づき、企業の最新IRで再確認したものではありません。


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