株の指標を1つずつ実際に使ってみるシリーズ。PER、PBRに続いて、今回はROE(自己資本利益率)を見てみます。
ROEは「株主から預かった自己資本を使って、どれくらい利益を生み出したか」を見る指標です。一般に高いほど資本効率が高いと考えられますが、数字だけで会社の良し悪しを決められるものではありません。
今回は、まずROEが低い企業を四季報オンラインで探してみました。ところが、実際に低い順に並べてみると想像していたのとは少し違う結果になりました。
まず「ROE5%以下」で検索すると1,170社
今回確認した四季報オンラインのROE(前期)は、対象3,844社、中央値7.87%、平均-3.18%でした。平均値は極端なマイナスROEの影響を受けるため、中央値も参考にします。
最初は「ROE5%以下」という条件だけで検索し、結果は1,170社でした。しかし低い順に並べると、ROEが-13,833.34%、-1,300%、-325%など、大幅なマイナスの企業が上位に並びました。赤字企業では純利益がマイナスになり、ROEもマイナスになることがあります。
これでは「黒字ではあるけれど資本効率が低い企業」を見る今回の目的とは少し違います。

そこで「ROE0~5%」に変更 → 742社
そこで前期ROEを「0%以上・5%以下」に変更しました。対象は742社。3,844社の約19.3%です。
今回の目的は、この742社を「低ROEだから悪い」と評価することではありません。前期はROEが低かった企業の中に、今期予想でROEが大きく改善している企業があるのかを見ていきます。
ROEだけから無理に理論株価を作ることはせず、今回はROEそのものの変化を主役にしました。PERやPBRとの組み合わせは、単一指標シリーズが終わってから改めて行います。
今回表示した項目
| 項目 | 使い方 |
| ROE(前期) | 0%以上・5%以下で抽出。今回の主条件 |
| ROE(今期) | 前期から改善する予想かを確認 |
| 営業利益増減率 | 利益改善が伴っているかを見る参考 |
| 当期利益増減率 | ROE改善の背景を見る参考 |
| 1株利益(前期) | 利益水準を見る参考 |
| PBR・PER | 画面には表示するが、今回は組み合わせ判定には使わない |
※スクリーニング条件として使ったのはROE(前期)だけです。その他の指標は結果を理解するための表示項目です。
低ROE順60社を見て気づいたこと
ROE0~5%の企業を低い順に確認すると、前期ROEが低くても今期予想はかなりばらついていました。低いままの企業もあれば、10%を超える水準まで改善する予想の企業もあります。
| 銘柄 | 前期ROE | 今期ROE | 変化 |
| テクニスコ(2962) | 0.28% | 11.34% | +11.06pt |
| アドウェイズ(2489) | 1.86% | 11.11% | +9.25pt |
| フォルシア(304A) | 2.41% | 14.09% | +11.68pt |
| トライアルHD(141A) | 2.69% | 8.17% | +5.48pt |
| ナフコ(2790) | 0.14% | 0.83% | +0.69pt |
※数値は2026年9月23日に確認した会社四季報オンラインのスクリーニング画面に基づきます。「今期ROE」は予想値を含むため、実績を保証するものではありません。

数字を見て、もう少し調べたくなった3社
低ROE順の60社の中から、前期→今期のROE改善予想が目立った企業を3社確認します。おすすめ銘柄の選定ではなく、「ROEの変化をきっかけに企業を調べる」ための例です。
① テクニスコ(2962)|0.28% → 11.34%
四季報画面では、前期ROE0.28%に対して今期ROE11.34%の予想でした。前期からの変化幅が大きく、今回のテーマでは目に留まります。
同社の2026年6月期決算では、売上高37.45億円(前期比11.4%増)、営業損失0.74億円、親会社株主に帰属する当期純利益0.05億円。前期は営業損失14.43億円、純損失29.76億円だったため損益は大きく改善していますが、直近実績だけで「高収益企業になった」とは言えません。
同社はヒートシンクやガラス製品などの精密加工部品を手掛けています。ROE予想の改善を見る際は、今後の利益回復が実際に進むかを継続して確認したいところです。
見るポイント:赤字からの回復過程/今期利益予想の達成状況/ROE改善が一時的か継続的か
② アドウェイズ(2489)|1.86% → 11.11%
四季報画面では前期ROE1.86%から今期11.11%へ改善する予想です。今回の60社の中でも変化が大きい企業の一つでした。
2026年12月期第2四半期(中間期)は、売上高63.24億円、営業利益9.56億円、経常利益11.48億円、親会社株主に帰属する中間純利益10.74億円。会社は同日に通期業績予想も修正しています。
前期ROEだけを見ると低い企業ですが、足元の利益改善がROE予想の上昇と同じ方向を向いている点は確認できます。ただし、この利益水準が続くかは通期着地まで追う必要があります。
見るポイント:中間期の利益改善が通期でも続くか/修正後の会社計画/一過性要因の有無
③ フォルシア(304A)|2.41% → 14.09%
四季報画面では前期ROE2.41%から今期14.09%へ改善する予想で、今回の3社では変化幅が最も大きくなっています。
2027年2月期第1四半期は、売上高6.65億円、営業利益0.74億円、経常利益0.75億円、四半期純利益0.42億円。会社の通期予想は売上高31.13億円、営業利益4.12億円、経常利益4.15億円、当期純利益2.75億円で据え置かれています。
第1四半期では増益方向を確認できますが、ROE14.09%という四季報予想が実現するかは、残りの四半期の利益推移や自己資本の変化も含めて見る必要があります。
見るポイント:通期利益計画への進捗/利益率の改善/自己資本と純利益の両方の変化

ROEが改善する予想でも、すぐに判断しない
ROEは「当期純利益÷自己資本」で考える指標です。利益が増えればROEは上がりやすくなりますが、自己資本が小さくなった場合にもROEが高く見えることがあります。
また、前期が一時的な低利益だった企業では、翌期の利益回復だけでROEの変化幅が大きく見える場合があります。「0.28%→11.34%」のような数字を見つけても、それだけで企業価値が上がった、株価が割安だ、と結論づけないことが大切です。
今回はROE単独を見る回なので、PBRやPERを条件に加えて企業を絞り込んではいません。単一指標シリーズの後で複数指標を重ねたときに、今回見つけた企業がどう見えるのかも確認します。
まとめ|低ROEを見るなら「今の数字」だけでなく変化も見る
前期ROE5%以下で検索すると1,170社。しかし低い順ではマイナスROEの企業が多く並んだため、0~5%に変更すると742社になりました。
同じ「低ROE企業」でも今期予想の方向はかなり違います。前期ROEだけで判断するより、今期予想で改善しているのか、利益も一緒に改善しているのかを見る方が数字の意味を理解しやすくなります。
次回は反対にROEが高い企業を調べます。高ROE企業は今期も高い水準を維持するのか、それとも低下する予想なのか。低い側と比較しながら見ていきます。


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