営業利益が大きく伸びる企業を見ると、「この会社は成長しているのでは?」と気になります。そこで今回は、会社四季報オンラインで「営業利益増減率(前期→今期予)」が20%以上の企業をスクリーニングしてみました。

結果は1,092社。思っていた以上に多い結果でした。そこで1,092社すべてを詳細分析するのではなく、今回は営業利益増減率が低い側から100社を実際に確認し、「今期は20%以上伸びる予想でも、来期はどうなるのか」を比べます。
今回確認した100社の今期予想の営業利益増減率は20.04%〜63.55%でした。なお、これは企業の優劣を示すランキングではありません。あくまで20%以上に該当した1,092社の一部を確認したものです。
営業利益増減率とは?
営業利益は、本業でどれだけ利益を稼いだかを見る代表的な指標です。営業利益増減率は、その営業利益が前の期と比べて何%増えた、または減ったかを示します。
たとえば営業利益が100億円から120億円になる予想なら、増加率は20%です。数字が大きければ本業の利益が大きく伸びる予想だと読み取れます。
ただし、「営業利益増減率が高い=良い企業」「高成長=買うべき株」という意味ではありません。前年の利益が一時的に低かった場合は反動で増加率が大きくなりますし、翌期に同じ成長率を維持できるとも限りません。

今回のスクリーニング条件
会社四季報オンラインで、営業利益増減率(前期→今期予)が20%以上という条件を設定しました。該当したのは1,092社です。
今回は、その中から営業利益増減率が低い側の100社を確認しました。100社の範囲は20.04%〜63.55%。そして「営業利益増減率(今期予→来期予)」を使い、来期も高い成長率が続くのかを比較しました。

※今回の100社は1,092社全体を代表する標本として無作為抽出したものではありません。そのため、以下の割合を1,092社全体や日本企業全体の傾向として一般化はしません。
内部リンク候補:前回記事「営業利益の伸びが0〜5%の企業を調べてみた|今期は低成長でも来期伸びる企業はある?」
100社を来期予想で分けると
今回確認した100社を、来期の営業利益増減率で3つに分けてみました。
| 来期予想による分類 | 社数 | 今回確認した100社内の割合 |
| 来期も20%以上 | 32社 | 32% |
| 来期0%以上20%未満 | 64社 | 64% |
| 来期は減益予想(0%未満) | 4社 | 4% |
今回確認した範囲では、今期20%以上の増益予想でも、来期も20%以上を維持する企業は32社でした。一方、64社は来期も増益予想ではあるものの20%未満へ鈍化し、4社は減益予想でした。
つまり「今期20%以上」という条件だけでは、翌期の姿はかなり違います。ここが今回いちばん確認したかったポイントです。
今期だけ見る場合と、来期まで見る場合で印象が変わる

来期も20%以上が見込まれる例
| 企業 | 今期予 | 来期予 | 見え方 |
| VRAIN Solution | 58.64% | 51.72% | 来期も50%超の予想 |
| エブコ | 40.95% | 41.50% | 今期・来期とも40%台 |
| ヤマイチエステート | 50.33% | 37.93% | 鈍化しても20%以上 |
| CAICA DIGITAL | 57.14% | 36.36% | 来期も20%以上 |
| ジェイテック | 31.91% | 29.03% | 今期・来期とも20%以上 |
このタイプは、今期だけでなく来期予想でも20%以上です。ただし、2年連続で高い成長率が予想されていることだけで投資判断はできません。利益の絶対額や過去の変動、一時要因などは別途確認が必要です。
今期は20%以上でも、来期は20%未満へ鈍化する例
| 企業 | 今期予 | 来期予 |
| 紀文食品 | 59.57% | 2.68% |
| 双日 | 51.73% | 9.09% |
| 東京エネシス | 54.10% | 6.84% |
| 日本基礎技術 | 37.45% | 7.50% |
| ALSOK | 22.55% | 8.69% |
今期の数字だけならかなり高く見える企業でも、来期予想まで見ると成長率が一桁になる例があります。これは「悪化した企業」と断定する話ではありません。今期の伸びが大きかった反動で、翌期の増加率が落ち着くだけの場合もあります。
来期は減益予想となる4社
| 企業 | 今期予 | 来期予 |
| コモ | 22.09% | -19.05% |
| 三洋堂HD | 30.59% | -14.29% |
| リョーサン菱洋HD | 33.29% | -5.19% |
| アルコニックス | 50.87% | -11.57% |
今回確認した100社では4社が、今期20%以上の増益予想から来期は減益予想へ変わっていました。今期の高い成長率だけを切り取ると見落としやすい部分です。
個人的に気になった5社
ここでは「おすすめ銘柄」ではなく、今回の100社を見比べた中で、今期と来期の数字の変化が特徴的で追加確認したくなった企業を5社だけ挙げます。
| 企業 | 今期予 | 来期予 | 気になった理由 |
| VRAIN Solution | 58.64% | 51.72% | 今回の範囲では、今期・来期とも50%超の予想。 |
| エブコ | 40.95% | 41.50% | 今期から来期にかけても40%台が続く予想。 |
| ベステラ | 34.95% | 20.00% | 来期は鈍化するものの20%を維持する予想。 |
| 紀文食品 | 59.57% | 2.68% | 今期の高い伸びから来期は大きく鈍化する予想。 |
| アルコニックス | 50.87% | -11.57% | 今期50%超から来期減益予想へ変化。 |
数字の変化が大きい企業ほど、その理由を決算資料などで確認する価値があります。ただし本記事では営業利益増減率という単独指標に絞るため、個別企業の業績要因やPER・PBR・ROEとの組み合わせまでは踏み込みません。
業種別の傾向は今回は断定しない
前回のROE記事では、確認対象について業種別の傾向も見ました。ただし今回提供されたスクリーニング画面には業種の列がありません。企業名だけから業種を推測して集計すると誤分類の可能性があるため、今回は業種別の社数や傾向を作っていません。
したがって、「高成長維持は○○業に多い」といった結論は出しません。業種データを別途確認できた場合に限り、「今回確認した100社における傾向」として分析するのが適切です。日本企業全体、1,092社全体、各業種全体の傾向と混同しないことも重要です。
営業利益成長率を見るときの注意点
1.前年の利益が小さいと増加率は大きくなりやすい
前年の営業利益が低い企業は、利益額がある程度戻るだけでも増加率が大きくなります。数十%、数百%という数字だけで判断しないことが大切です。
2.高成長が毎年続くとは限らない
今回も、今期20%以上の企業の中に、来期は一桁成長や減益予想となる企業がありました。今期予想だけでなく翌期予想まで並べると、見え方が変わります。
3.成長率と利益額は別物
増加率が高くても営業利益そのものが小さいケースがあります。逆に、巨大な利益を出している企業では数%の増加でも金額としては大きいことがあります。
4.予想値は変わる
四季報などの今期予想・来期予想は確定値ではありません。業績修正や事業環境の変化によって数字が変わる可能性があります。
5.今回は単独指標だけを見る
PER・PBR・ROEなどを組み合わせれば別の見方ができますが、今回はあえて営業利益増減率だけを見ています。単独指標シリーズを一通り確認したあと、別記事で複合分析を行う予定です。


まとめ|「20%以上」だけでは来期の姿までは分からない
営業利益増減率(前期→今期予)20%以上でスクリーニングすると、1,092社が該当しました。今回はそのうち、営業利益増減率が低い側から100社(20.04%〜63.55%)を確認しました。
来期予想で分けると、来期も20%以上が32社、0%以上20%未満が64社、減益予想が4社でした。今回確認した100社では、今期20%以上だからといって来期も同じ高成長が続くわけではないことが分かります。
一方で、来期も20%以上の成長予想が続く企業もありました。大切なのは「高いから良い」「鈍化するから悪い」と即断せず、なぜその数字になっているのかを次の段階で確認することだと思います。
次は単独指標シリーズを積み上げたうえで、PER・PBR・ROE・成長率などを組み合わせた複合分析につなげていきます。
※本記事は会社四季報オンラインのスクリーニング画面をもとにした個人的な調査・学習記録です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。


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