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ROEが高い企業は今期も強い?前期ROE20%以上365社から上位60社を確認

投資初心者

前回は、会社四季報オンラインのスクリーニングで「前期ROE 0~5%」に該当した742社を確認し、低ROE企業の中に今期改善する企業があるのかを見ました。今回はその反対側です。

ROEが低い企業を調べてみた|0~5%の742社から今期改善予想の企業に注目
会社四季報オンラインで前期ROE0~5%の企業を抽出すると742社。低ROE=悪い会社と決めつけず、今期ROEの改善予想や利益の変化を確認します。

同じROEという指標で「前期ROE20%以上」を抽出すると365社ありました。今回は、その中でも前期ROEが高い順の上位60社を確認し、今期も高ROEを維持・改善する企業と、ROEが悪化する企業を比較します。

今回はROE単独の記事です。PER・PBRとの複合分析や理論株価は行いません。まずROEだけを見たときに、どこまで分かるのかを整理します。

結論|上位60社のうち38社は維持・改善、22社は悪化予想

2026年9月23日に確認した会社四季報オンラインのスクリーニング画面では、ROE上位60社のうち、今期ROEが前期以上となっていた企業は38社、前期を下回っていた企業は22社でした。

つまり、前期ROEが20%を大きく超える企業でも、今期も同じ方向に進むとは限りません。一方で、上位60社の中では維持・改善側の企業のほうが多く確認できました。

ただし、これは「今回確認したROE上位60社」の結果です。前期ROE20%以上の365社全体、日本企業全体、各業種全体の傾向を示すものではありません。

ROEとは?

ROE(Return on Equity、自己資本利益率)は、企業が自己資本を使ってどれだけ効率よく利益を生み出したかを見る指標です。一般的には「当期純利益 ÷ 自己資本 × 100」で考えます。

ROEが高いほど資本効率が高いと読めますが、自己資本が小さい場合にもROEは大きくなります。そのため、ROEの高さだけで企業の良し悪しや株価の割安・割高を判断することはできません。

今回のスクリーニング条件

確認項目今回の条件・方法
条件ROE(前期)20%以上
該当企業数365社
詳細確認前期ROEが高い順の上位60社
比較ROE(前期)とROE(今期)
維持・改善今期ROEが前期ROE以上
悪化今期ROEが前期ROEを下回る
確認日2026年9月23日
今回扱わないものPER・PBRとの複合分析、理論株価

※「今期ROE」は予想値を含むため、実績を保証するものではありません。

前回の低ROE記事と対にして見る

比較前回の低ROE記事今回の高ROE記事
抽出条件ROE 0~5%ROE 20%以上
該当数742社365社
詳細確認低ROE順60社高ROE順60社
見るポイント低ROEから改善するか高ROEを維持できるか
注意点低いだけで悪いと決めない高いだけで良いと決めない

ROE上位60社で大きく改善した企業

銘柄前期ROE今期ROE変化見方
エスポア52.38%1428.57%+1376.19pt改善予想
キオクシアHD39.63%353.84%+314.21pt改善予想
THECOO32.22%112.96%+80.74pt改善予想
Aiロボティクス43.87%97.53%+53.66pt改善予想
ラクス51.06%101.78%+50.72pt改善予想
リネットジャパンG50.66%86.64%+35.98pt改善予想
ジンジブ31.70%60.97%+29.27pt改善予想
ウリドキ52.82%76.16%+23.34pt改善予想

特にエスポアは52.38%→1,428.57%、キオクシアHDは39.63%→353.84%と非常に大きな数値になっています。こうした極端なROEは「すごく良い」と単純評価するのではなく、利益の変化だけでなく自己資本の大きさや一時要因も確認したい数字です。

一方で、前期から大きく悪化する企業もある

銘柄前期ROE今期ROE変化見方
児玉化学工業82.81%6.68%-76.13pt悪化予想
ROXX53.78%0.00%-53.78pt悪化予想
エー・ピーHD101.06%52.53%-48.53pt悪化予想
ショーケース50.50%5.94%-44.56pt悪化予想
GMO TECH HD38.48%11.00%-27.48pt悪化予想
FUJIジャパン29.07%2.71%-26.36pt悪化予想
ヴィレッジヴァンガード28.56%5.04%-23.52pt悪化予想
アズジェント33.26%9.90%-23.36pt悪化予想

児玉化学工業は82.81%→6.68%、ROXXは53.78%→0.00%、エー・ピーHDは101.06%→52.53%でした。エー・ピーHDのように大きく低下してもなお50%を超えるケースもあり、「低下した=低ROE」とは限りません。変化幅と今期の絶対水準を両方見る必要があります。

個人的に気になった3社|数字の「理由」をもう一段見たい

これまでの単一指標シリーズと同じように、今回も上位60社の中から「この数字はもう少し理由を調べてみたい」と感じた3社を挙げます。ここでの「気になる」は買い推奨ではありません。ROEの動き方が特徴的で、ROEだけでは判断できないことが分かりやすい3社を選びました。

① キオクシアホールディングス(285A)|39.63% → 353.84%

今回もっとも目を引いたのがキオクシアホールディングスです。前期ROE39.63%でも十分高い水準ですが、四季報画面の今期ROEは353.84%まで上昇しています。単純に「資本効率が大幅に良くなった」とだけ読むには数字が極端です。

スクリーンショットでは、当期利益増減率も前期792.71%、今期28.28%と大きな変動が見えます。半導体メモリは市況変動の影響を受けやすく、キオクシアは公式IRでもAI時代を見据えた中長期戦略や設備投資を示しています。ROEが300%を超える背景について、利益の回復だけでなく自己資本の水準・資本構成まで確認したくなる企業です。

→ 気になった理由:今回の60社でROEの上昇幅が特に大きく、「高ROE=そのまま優良」と読まないための具体例として分かりやすい。

② ラクス(3923)|51.06% → 101.78%

ラクスも気になりました。前期ROE51.06%から今期101.78%へ、すでに高かったROEがさらに約2倍になる予想です。一方、スクリーンショットでは営業利益増減率が前期21.07%・今期16.66%、当期利益増減率が前期99.35%・今期▲29.44%と表示されています。

「今期の当期利益増減率はマイナスなのに、なぜROEは100%を超える予想なのか」という点が、ROEの分母である自己資本も含めて確認したくなるポイントです。ラクスは「楽楽精算」などのクラウドサービスを展開し、公式IRでは決算説明資料やデータブックを継続的に開示しています。ROE単独では読み切れないことを示す例として追いかけたい企業です。

→ 気になった理由:利益の伸び率とROEの方向が単純には一致しておらず、ROEの算出構造を考える材料になる。

③ エー・ピーホールディングス(3175)|101.06% → 52.53%

3社目はエー・ピーホールディングスです。上位60社の中で前期ROEは101.06%と最も高い一方、今期は52.53%へ大きく低下する予想です。ただし、半分近くまで下がってもROE50%超という点が特徴的です。

同社は「塚田農場」「四十八漁場」などの飲食店を展開し、公式サイトでは飲食店・食品販売に加え、生産・加工・流通まで手掛ける事業内容を示しています。前期のROEがなぜ100%を超えたのか、今期の低下が利益側の反動なのか、自己資本側の変化なのかを確認したくなります。

→ 気になった理由:「ROEが悪化した企業」の中でも、低下後の絶対水準はなお高い。上がった・下がっただけで評価しない例として分かりやすい。

3社を並べて分かったこと

キオクシアHDは「極端な上昇」、ラクスは「利益増減率との組み合わせ」、エー・ピーホールディングスは「大幅低下しても高水準」という、それぞれ違う理由で気になりました。前回までの記事と同様、ここでも数値の順位をそのまま企業の順位にはしません。気になる数字を見つけたら、次に決算資料や自己資本、利益の中身を確認する――という使い方が、四季報スクリーニングでは大切だと感じます。

※上記3社は投資推奨ではなく、今回のROE上位60社から「数値の背景をさらに調べたい企業」として取り上げています。

業種別に見ると、IT・情報通信系とサービス系が目立った

今回の60社を事業内容の近い企業ごとに大きく分けて確認すると、IT・情報通信系、人材・各種サービス系の企業が多く含まれていました。改善側にも悪化側にも両方の企業があり、特定の業種だから一方向に動いたわけではありません。

今回の参考分類60社中維持・改善悪化
IT・情報通信25169
人材・サービス17116
外食・小売等752
不動産550
製造413
建設202

今回の参考分類では、IT・情報通信系は25社(維持・改善16社、悪化9社)、人材・サービス系は17社(維持・改善11社、悪化6社)と、この2分類が上位60社の多くを占めました。

ただし、この分類は今回の60社を記事上で大きく整理するための参考分類です。東証33業種の厳密な業種別ランキングではありません。また、日本企業全体、前期ROE20%以上の365社全体、各業種全体の傾向を示すものでもありません。「今回確認したROE上位60社では、こう見えた」という範囲に限定して捉えます。

高ROEを維持・改善する企業で確認したいこと

  • 今期の純利益も伸びる見込みか
  • 売上高・営業利益の伸びを伴っているか
  • 前期だけの特別利益でROEが高くなっていないか
  • 自己資本が極端に小さくないか
  • 数年単位でも高い資本効率を維持できているか

ROEが悪化する企業で確認したいこと

  • 前期が一時的な利益増で高ROEになっていなかったか
  • 今期の純利益が減る理由は何か
  • 本業の営業利益も悪化するのか
  • 自己資本の増加によるROE低下なのか
  • 低下後のROE水準でも高いのか

ROEが高い=株価が上がる、ではない

ROEは企業の資本効率を見る重要な指標ですが、株価の割安・割高を直接示す指標ではありません。高ROEでも、その成長期待がすでに株価に織り込まれている可能性があります。

今回はROE単独で比較しました。PER・PBRとの組み合わせは別の記事で扱い、単一指標を一つずつ確認したあとに複合分析へ進む予定です。

今回のまとめ

  • 上位60社から、数値の背景をさらに見たい3社としてキオクシアHD・ラクス・エー・ピーホールディングスを取り上げた。
  • ROE(前期)20%以上に該当した企業は365社だった。
  • その中から前期ROE上位60社を確認した。
  • 上位60社では、今期ROEが維持・改善する企業が38社、悪化する企業が22社だった。
  • 極端に高い今期ROEもあり、自己資本や一時要因まで確認する必要がある。
  • 今回の60社ではIT・情報通信系、人材・サービス系が多かったが、今回の60社だけの傾向である。
  • 今回はROE単独分析とし、PER・PBRとの複合分析や理論株価は扱わない。

前回の「ROE0~5%=742社」と今回の「ROE20%以上=365社」を並べると、ROEは高い・低いだけで終わらせず、その後どう変わるのかを見ることが大切だと分かります。

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