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前回から、四季報オンラインの9条件で116社から15社まで絞った企業を、順位を付けず5社ずつ確認しています。第1回ではジーエルテクノHD、ABCマート、ソフトウェア・サービス、SRAHD、日本新薬を見ました。
第2回は、参天製薬、TOYO TIRE、ベルテクスコーポレーション、日精エー・エス・ビー機械(日精ASB機械)、竹内製作所です。業種は医薬品、タイヤ・自動車部品、防災インフラ、成形機、建設機械とかなりバラバラです。
だからこそ今回は、PER・PBRが低いという共通点だけでなく、「現在の利益は伸びているのか」「何が利益を動かしているのか」「低い評価に理由がありそうか」を同じ順番で確認します。
※投資判断を勧める記事ではありません。四季報の倍率は2026年9月19日のスクリーニング画面、業績は記事作成時点で確認できる各社の最新公表資料を基準にしています。
まずは5社を四季報の数字で比較

| 企業 | コード | PER(今期) | PBR(直近Q) | ROE(前期) | 営業利益率(前期) |
| 参天製薬 | 4536 | 13.77倍 | 1.82倍 | 12.58% | 16.38% |
| TOYO TIRE | 5105 | 7.57倍 | 1.06倍 | 12.17% | 16.36% |
| ベルテクスコーポレーション | 5290 | 14.35倍 | 1.40倍 | 23.37% | 15.17% |
| 日精ASB機械 | 6284 | 13.57倍 | 1.96倍 | 13.14% | 24.37% |
| 竹内製作所 | 6432 | 13.77倍 | 1.80倍 | 15.12% | 16.72% |
今回の5社ではTOYO TIREのPER7.57倍・PBR1.06倍が低く見えます。一方、ベルテクスコーポレーションはROE23.37%、日精ASB機械は営業利益率24.37%と、収益性の高さが目立ちます。数字の低さだけでは同じグループとして扱えません。
① 参天製薬|売上は横ばいでも利益改善、海外と新製品を見る
参天製薬は眼科領域に特化した医薬品企業です。2027年3月期第1四半期は売上収益689.57億円で前年同期比0.3%増、営業利益81.16億円で7.2%増、親会社所有者帰属利益71.94億円で22.4%増でした。
売上が大きく増えていないのに利益が改善している点が今回の注目点です。2026年8月には緑内障・高眼圧症治療剤「ロープレッサ」を国内発売し、9月には近視進行抑制を目的とする点眼剤の中国での承認申請受理も公表しています。新製品・海外展開が次の成長につながるかを見たいところです。
四季報ではPER13.77倍、PBR1.82倍、ROE12.58%。医薬品は薬価、特許、研究開発、承認の成否などで将来利益が変わるため、倍率だけでなく製品ポートフォリオと開発パイプラインをセットで見る必要があります。
確認したい点:国内薬価・後発品の影響、海外成長、新製品の浸透、研究開発・承認リスク。
出典:参天製薬 2027年3月期第1四半期決算関連資料、2026年8~9月IRニュース
② TOYO TIRE|PERは低いが、今期は増収・営業減益予想
TOYO TIREはタイヤ事業を中心に、自動車用防振ゴムなどの自動車部品事業も展開しています。会社の2026年12月期予想は売上高6,380億円で前年を上回る一方、営業利益は900億円で前年の973.5億円から減少する計画です。純利益予想は620億円、年間配当予想は135円です。
四季報ではPER7.57倍、PBR1.06倍と今回5社の中で最も低い水準です。ただし「PERが低い」という数字の裏には、今期営業減益予想という材料もあります。原材料価格、為替、自動車需要、米国を含む各地域の販売環境などが利益に影響します。
一方、会社は2026~2030年度の新中期経営計画を開始し、配当政策では株主資本配当率4.5%、配当性向30%以上を目標水準に置き、累進配当を掲げています。低い倍率だけでなく、利益の底打ち・再成長が見えるかを確認したい企業です。
確認したい点:営業減益の底、原材料・為替、北米などの販売、価格転嫁、中計の進捗。
出典:TOYO TIRE公式IR「業績予想」「配当情報」「中計’26」
③ ベルテクスコーポレーション|防災需要は追い風でも、四半期利益は案件で振れる
ベルテクスコーポレーションは、コンクリート製品、パイル、斜面防災など、国土強靭化や防災・減災、インフラ更新と関係の深い事業を持っています。
2027年3月期第1四半期は売上高87.87億円で1.0%増でしたが、営業利益は4.85億円で54.9%減。前年同期にあった大型の浸水対策製品案件と同等の案件がなかったことなどが響きました。一方、四半期純利益は保有不動産の売却益もあり17.4%増でした。
ここは数字を見るときに注意が必要です。最終利益が増えていても、本業の営業利益は大きく減っています。会社の通期予想は売上高520億円(11.8%増)、営業利益71億円(0.6%増)で、通期では営業増益を見込んでいます。自己資本比率も第1四半期末で71.7%です。
四季報ではPER14.35倍、PBR1.40倍、ROE23.37%。公共投資・防災需要という中長期テーマはありますが、大型案件の計上時期によって四半期数字が大きく振れる点を理解して見る必要があります。
確認したい点:大型案件の受注・計上時期、公共投資、原材料・物流費、人手不足、M&A後の事業ポートフォリオ。
出典:ベルテクスコーポレーション 2027年3月期第1四半期決算短信

④ 日精ASB機械|高利益率+受注好調、海外比率と為替をどう見るか
日精エー・エス・ビー機械は、PETボトルなどのプラスチック容器を作るストレッチブロー成形機や金型を世界で販売する機械メーカーです。
2026年9月期第3四半期累計は、受注高418.17億円で前年同期比27.7%増、売上高359.77億円で9.8%増、営業利益101.69億円で20.2%増。第3四半期累計として受注・売上・営業利益が過去最高となりました。北米・インドが堅調で、欧州も高水準、小中型機の販売が伸びています。
四季報ではPER13.57倍、PBR1.96倍、ROE13.14%、営業利益率24.37%。今回5社の中でも営業利益率が高く、現在の業績も増収増益です。一方で海外展開が大きい企業なので、世界景気、設備投資需要、為替の影響は外せません。
会社はインド工場の能力増強など成長投資も進めています。受注残が将来の売上へどうつながるか、投資後も高い利益率を維持できるかがポイントです。
確認したい点:海外設備投資需要、為替、受注残の消化、製品ミックス、インド能力増強の効果。
出典:日精ASB機械 2026年9月期第3四半期決算短信・決算補足資料
⑤ 竹内製作所|売上・受注は伸びる一方、営業利益は減少
竹内製作所はミニショベルやクローラーローダーなど小型建設機械を開発・製造・販売しています。海外売上の比重が高く、北米・欧州の建設機械需要や為替の影響を受けやすい企業です。
2027年2月期第1四半期は売上高568.09億円で前年同期比12.2%増でしたが、営業利益は99.75億円で9.3%減。経常利益は0.9%増、純利益は0.2%増でした。受注高は903.06億円で59.2%増、受注残高も770.6億円へ増えています。
増収なのに営業減益という点が重要です。販売数量が伸びても、関税・コスト・地域や製品の構成などで利益率は下がることがあります。会社の通期予想は売上高2,440億円(8.3%増)、営業利益373億円(1.0%減)で据え置かれています。
四季報ではPER13.77倍、PBR1.80倍、ROE15.12%。受注の強さは先行指標として注目できますが、それが利益率回復につながるかを次の決算でも確認したいところです。
確認したい点:米国関税、北米・欧州需要、為替、価格転嫁、受注残から売上・利益への転換。
出典:竹内製作所公式IR 2027年2月期第1四半期決算短信・決算参考資料
5社を横並びにすると、同じ低PER・低PBRでも理由が違う
| 企業 | 最新決算で見えたポイント | 次に見る材料 |
| 参天製薬 | 売上ほぼ横ばいでも利益改善 | 新製品・海外・薬価・開発 |
| TOYO TIRE | 増収予想だが営業減益予想 | 利益底打ち、原材料・為替 |
| ベルテクス | 1Q営業減益、大型案件の反動 | 案件計上、公共投資、コスト |
| 日精ASB機械 | 受注・売上・営業利益が好調 | 海外需要、為替、受注残 |
| 竹内製作所 | 増収・受注急増でも営業減益 | 関税、価格転嫁、利益率 |
第1回と同じく、PER・PBRは答えではなく入口でした。特に今回の5社は、低い倍率の背景が「今期減益予想」「案件の反動」「海外・為替」「関税」など企業ごとに大きく異なります。逆に、日精ASB機械のように足元の業績が強い会社も含まれています。
このため、15社をさらに機械的な条件だけで削るより、最新決算で理由を確認する今の進め方の方が、候補の中身を理解しやすいと感じます。
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次回は最後の5社へ
次回の15社深掘り③では、日本ライフライン、アルゴグラフィックス、前田工繊、中央自動車工業、東京都競馬を確認します。これで15社すべてを一度同じ目線で見終えることになります。
最後の記事では5社の分析だけでなく、3記事で見てきた15社全体について、「低PER・低PBRの背景にはどんなパターンがあったか」も整理します。順位付けはせず、その後にさらに詳しく調べるための材料をまとめる予定です。

まとめ
第2回では、参天製薬、TOYO TIRE、ベルテクスコーポレーション、日精ASB機械、竹内製作所を確認しました。
参天製薬は利益改善と新製品・海外、TOYO TIREは低いPERと営業減益予想、ベルテクスは大型案件による四半期変動、日精ASB機械は高利益率と受注好調、竹内製作所は受注増と営業減益という、それぞれ違う論点があります。
「PER15倍以下・PBR2倍以下」という同じ入口から選んでも、数字の背景はここまで違います。次回は最後の5社を確認し、15社全体の深掘りをいったん完了させます。


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