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ここまで、四季報オンラインの7条件で115社まで絞り、その中からリーマンショック前後まで業績を確認できる企業について、2007~2010年度の売上高・営業利益・営業赤字への転落・回復力を見てきました。
ランキングを作ってみて面白かったのは、「不況に強い企業=食品や医薬品だけ」ではなかったことです。社会インフラ、業務システム、M&A支援、精密機器、ゲームなど、事業内容はかなり違います。それでも業績の動きを比べると、いくつか共通する特徴が見えてきました。
今回は個別企業の順位ではなく、これまでのランキング記事から見えた共通点を整理し、今後自分で企業を探すときに何を確認すればよいのかまでつなげます。
20位~11位の記事:https://life-lab.site/2026/09/13/lehman-recession-resistant-stocks-ranking-20-11/
10位~1位の記事:https://life-lab.site/2026/09/14/lehman-recession-resistant-stocks-ranking-top10/

先に結論|共通していたのは「売上が落ちないこと」だけではない
不況耐性を見るとき、「景気が悪くても売上が減らない会社」を探したくなります。もちろんそれは強さの一つですが、今回の結果では、売上が減っても営業利益を守った企業や、いったん落ちても短期間で回復した企業も上位に入りました。
つまり不況に強い企業には、大きく分けて「需要そのものが落ちにくい強さ」と「需要が落ちても耐えられる強さ」があります。この2つを分けて考えると、企業を見るポイントがかなり整理しやすくなります。
特徴1 景気が悪くても需要がゼロになりにくい
東洋水産の食品、日本新薬・参天製薬の医薬品、ショーボンドHDの社会インフラ補修、TKCの会計・税務関連サービスなど、景気が悪化しても「使うのを完全にやめる」ことが難しい商品・サービスが複数見られました。
ここで重要なのは、単に「ディフェンシブ業種」という名前だけで判断しないことです。同じ業種でも企業ごとに利益率、顧客構成、競争環境は違います。まずは、その会社の商品やサービスが不況時にどこまで後回しにされるのかを考えるのが第一歩です。
特徴2 高い利益率が「クッション」になっている
キーエンスはリーマン期に売上高も営業利益も大きく減りました。それでも営業赤字には転落していません。一方、オービックは売上高をほぼ維持しながら営業利益を伸ばしました。形は違いますが、どちらも本業で利益を生み出す力が大きな支えになっています。
営業利益率が高い会社は、売上が多少落ちても利益を残せる余地があります。今回の最初のスクリーニングで「売上高営業利益率15%以上」を条件に入れた意味が、過去の不況データからも見えてきます。
特徴3 継続利用・既存顧客との関係が強い
TKCやオービック、オービックビジネスコンサルタントのような業務システム系は、企業が一度導入すると簡単には入れ替えにくいサービスを持っています。景気が悪くなったからといって、会計・基幹システムを翌月からゼロにするわけにはいきません。
こうした継続利用型のビジネスは、毎年新しい顧客をゼロから獲得しなければ売上が立たない事業と比べ、売上の土台が残りやすいと考えられます。四季報や決算資料を見るときは「売上高」だけでなく、ストック売上、契約継続、保守・利用料などの記述も確認したいポイントです。
特徴4 売上が減っても利益を守れる
今回とくに印象的だったのが、中央自動車工業やフューチャーです。中央自動車工業は売上高が減った期間でも営業利益が増加し、フューチャーも売上減少下で営業利益を維持・増加させました。
これは「売上が増えたか」だけでは企業の強さを判断できないことを示しています。商品構成の改善、採算の良い案件への集中、コスト管理などによって、売上が減っても利益を守れる場合があります。不況時には売上高と営業利益を必ずセットで見る理由です。
特徴5 落ち込んだ後の回復が早い
不況で一度も業績が落ちなかった企業だけが強いわけではありません。カプコンやキーエンスのように大きく落ち込んでも、その後に急速に回復した企業もありました。
そこで今回のランキングでは「2010年度までの回復力」を評価項目にしました。企業分析でも、悪化した年だけを見るのではなく、その後1~2年で売上高・営業利益がどこまで戻ったかを見ると、需要回復を取り込む力や事業モデルの柔軟性が見えやすくなります。

5つの特徴を、四季報・決算資料ではどう確認する?
| 見るポイント | 確認したい数字・情報 | 見る理由 |
| 需要の継続性 | 事業内容、顧客、必需性 | 不況でも購入・利用が続くか |
| 利益のクッション | 売上高営業利益率 | 売上減少時にも利益を残せるか |
| 継続収入 | ストック売上、保守、契約、リピート | 売上の土台がどれだけ残るか |
| 利益防衛力 | 売上高と営業利益の増減を比較 | 売上減以上に利益が崩れていないか |
| 回復力 | 2~4年程度の売上高・営業利益推移 | 悪化後にどの程度の速さで戻ったか |
| 財務余力 | 自己資本比率、営業CF、有利子負債 | 回復まで耐える体力があるか |
ここで最後に財務余力を加えたのは、今回の115社スクリーニングで自己資本比率60%以上、営業CFプラス、有利子負債営業CF倍率2倍未満などを条件にしていたためです。不況時の売上・利益だけでなく、その期間を耐えられる財務体力も合わせて見ることで、企業分析の精度を上げやすくなります。
7条件のスクリーニング記事:https://life-lab.site/2026/09/12/recession-resistant-stock-screening/
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今回整理した5つの特徴は、「この条件に当てはまれば買い」というものではありません。企業の業績が強くても、株価がすでに割高なら投資結果は別の話になります。実際に投資を考える場合は、現在の株価やPER・PBR、最新決算も合わせて確認する必要があります。
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不況に強い企業を探すときの簡単チェックリスト
今後、自分で企業を探すときは「不況でも必要とされるか」「営業利益率に余裕があるか」「継続収入があるか」「売上が減った年に利益を守れているか」「悪化後の回復が早いか」「財務に余力があるか」の順に確認すると整理しやすくなります。
最初からすべてを完璧に分析する必要はありません。四季報で候補を絞り、気になる企業だけ過去の決算資料までさかのぼる。今回のシリーズで行った「数字で絞る→業種を見る→過去の不況で検証する」という流れは、初心者でも再現しやすい方法だと思います。

まとめ|業種名より「なぜ利益を守れるのか」を見る
リーマンショック期に比較的強かった企業を見ていくと、食品・医薬品のような需要の安定だけでなく、継続利用されるサービス、高い利益率、売上減少下での利益防衛、そして回復の速さが重要だと分かりました。
つまり「不況に強い業種を買えばいい」ではなく、その企業がなぜ売上や利益を守れるのかを考えることが大切です。次に企業を見るときは、現在の数字だけでなく、過去に景気が悪化したときの業績も一度確認してみると、その会社の違った一面が見えてくるかもしれません。
次回は、この考え方を現在の四季報データに戻し、ランキング上位企業をさらに深掘りする場合にどの数字・事業内容を確認するかを整理していきます。


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