リーマンショックに強かった企業ランキング10位~1位|不況でも利益を守った日本株

投資初心者

※本記事は投資判断を推奨するものではありません。掲載している企業・指数・過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

前回は、現在の財務条件で絞った115社のうち、リーマンショック前後まで業績をさかのぼって確認できる企業から20位~11位を紹介しました。今回はいよいよTOP10です。評価したのは、①最大売上高減少率、②最大営業利益減少率、③営業赤字への転落有無、④2010年度までの回復力の4項目です。

ここでいう「強かった」は株価が下がらなかったという意味ではありません。世界的な株安の中では優良企業の株価も下落しました。本記事では、景気後退時に本業の売上と営業利益をどれだけ守れたかを見ています。

リーマンショックに強かった日本株ランキング20位~11位|2007~2010年の業績を比較

順位を読む前の注意点

3月決算企業では「2007年度」を2008年3月期、「2010年度」を2011年3月期として扱っています。決算月が異なる企業はそれぞれ対応する通期で比較しました。また、持株会社化・決算期変更などで単純比較できない企業は慎重に扱っています。順位は将来の投資収益を予測するものではなく、過去の事業業績を基にした本記事独自の評価です。

TOP10一覧

順位企業コード最大売上減最大営利減赤字回復
10キーエンス6861約32.1%減約45.7%減なし2010年度に大幅回復
9カプコン9697約19.6%減約57.4%減なし2010年度に基準超え
8日本新薬4516基準年割れなし約19.8%減なし売上は基準超え
7参天製薬4536小幅減約23.9%減なし早期回復
6TKC9746約2.6%減約13.7%減なし安定
5日本M&AセンターHD2127基準年近辺約6.6%減なしおおむね維持
4中央自動車工業8117約18.2%減基準年割れなしなし利益は増加
3東洋水産2875約2.8%減基準年割れなしなし利益は基準超え
2オービック4684約2.2%減基準年割れなしなし売上・利益とも回復
1ショーボンドHD1414基準年割れなし基準年割れなしなし増収増益

※上表の減少率は2007年度相当の通期を基準にした概算です。特に決算期や開示形式が異なる企業は、数値の完全な横並びより「黒字維持・落ち込み・回復」の組み合わせを重視しています。

10位 キーエンス(6861)

設備投資の急減を受けても高い利益率と黒字を維持。

2008年3月期は売上高約2,006億円、営業利益約1,024億円。その後、2010年3月期には売上高約1,362億円、営業利益約557億円まで落ち込みました。しかし営業赤字にはならず、2011年3月期には売上高約1,848億円、営業利益約866億円まで回復しています。製造業の設備投資に左右される企業なので「不況で業績が落ちない会社」ではありませんが、落ち込んでも非常に高い収益力を残した点を評価しました。

9位 カプコン(9697)

落ち込みは大きかった一方、回復が非常に速かった。

2008年3月期の売上高約831億円、営業利益約131億円に対し、2010年3月期は売上高約668億円、営業利益約56億円まで低下しました。一方、2011年3月期には売上高約977億円、営業利益約143億円へ急回復。ゲーム会社は作品の発売時期による振れも大きいため、景気だけが原因とは言えませんが、赤字に落ちず回復した点を評価しています。

8位 日本新薬(4516)

医薬品需要の安定性が売上を支えた。

2008年3月期の売上高約595億円に対し、2009~2011年3月期はいずれも基準を上回りました。営業利益は2011年3月期に約52億円まで低下しましたが、営業黒字を維持。売上の安定性が特徴です。

7位 参天製薬(4536)

眼科医薬品を中心に売上の落ち込みが小さかった。

リーマン期にも売上の落ち込みが小さく、営業利益は一時減少した後に回復しました。医薬品は景気が悪化しても需要が急減しにくい一方、研究開発や製品構成による変動もあるため、単純に『医薬品なら安全』とは言えません。

6位 TKC(9746)

会計・税務システムの継続需要が下支え。

会計事務所や企業向けの情報サービスは継続利用されやすく、売上高の落ち込みは数%程度にとどまりました。営業利益は一時低下したものの赤字とはならず、事業の継続性が数字に表れています。

5位 日本M&AセンターHD(2127)

小規模ながら利益水準の崩れが小さかった。

2008年3月期の売上高約34億円・営業利益約15億円に対し、危機後も大きく崩れず黒字を維持しました。ただし当時と現在では事業規模が大きく異なるため、『今後も同じ耐性がある』とは考えず、歴史的な一例として見るのが適切です。

4位 中央自動車工業(8117)

売上減少下でも営業利益が毎年増えた点が際立つ。

売上高は2008年3月期約189億円から2010年3月期約155億円まで減りました。しかし営業利益は約13.2億円→14.3億円→18.2億円→19.4億円と増加。売上減少下で利益を伸ばした点は今回の比較で非常に強い材料でした。

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ここまでのランキングは「今買うべき銘柄」を示すものではありません。実際に投資するときは、現在の業績、株価、PER・PBR、今後の見通しなどを別途確認する必要があります。これから株式投資を始める方は、証券口座を用意して少額から企業や株価の動きを見ていく方法もあります。

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3位 東洋水産(2875)

食品需要の底堅さと利益成長が目立った。

売上高は2008年3月期約3,147億円、2009年約3,221億円、2010年約3,153億円、2011年約3,059億円と大きく崩れませんでした。営業利益は約202億円→250億円→311億円→258億円で、2011年も基準年を上回っています。食品という生活必需品に近い需要の強さが数字にも表れています。

2位 オービック(4684)

売上ほぼ横ばいの中で営業利益は連続増益。

2008年3月期の売上高約474億円に対し、2009年約474億円、2010年約463億円、2011年約479億円。最大でも約2%の低下です。さらに営業利益は約136億円→143億円→154億円→167億円と毎年増加しました。売上をほぼ維持しながら利益を伸ばした点で、今回のランキングでも特に強い結果です。

1位 ショーボンドHD(1414)

インフラ補修需要を背景に危機下でも売上・営業利益が増加。

2008年6月期の売上高約414億円、営業利益約29億円から、2009年6月期は売上高約427億円・営業利益約43億円、2010年6月期は売上高約506億円・営業利益約76億円へ増加しました。2011年6月期も売上高約474億円、営業利益約77億円で、危機前の水準を上回っています。橋梁など社会インフラの補修・補強は景気だけで先送りし続けにくい需要であり、今回の条件では最も印象的な推移でした。

TOP10から見えた「不況に強い企業」の共通点

上位企業には、生活必需品に近い食品、医療、会計・業務システム、社会インフラ補修など、景気が悪化しても需要がゼロになりにくい事業が複数ありました。一方で中央自動車工業やオービックのように、売上が横ばい・減少でも営業利益を伸ばした企業もあります。つまり『何を売っているか』だけでなく、価格決定力、固定費、顧客基盤、継続収入なども不況耐性に関係していると考えられます。

逆にキーエンスのような設備投資関連企業は業績そのものは大きく落ちました。それでも高い利益率を残して黒字を維持できる企業には、別の意味での耐久力があります。「売上が落ちない企業」と「落ちても耐えられる企業」は分けて考える必要があります。

まとめ|過去に強かった企業を、今の投資判断へどうつなげるか

今回の検証で重要だったのは、単に『リーマンショックでも黒字だった』だけではありません。売上がどこまで落ちたか、利益をどこまで守れたか、そして回復に何年かかったかを分けて見ることで、企業ごとの強さの違いが見えてきました。

ただし、2008年前後に強かった企業が次の景気後退でも同じように強いとは限りません。事業構成、競争環境、為替、金利、現在の株価水準は変化しています。次の段階では、このTOP20に共通する特徴を整理し、現在の企業分析で何をチェックすればよいのかにつなげていきます。

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