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前回の記事では、四季報オンラインで7つの条件を設定し、景気後退でも比較的耐えられそうな企業を115社まで絞りました。さらに、その115社がどの業種に多いのかを確認し、リーマンショック前後の2007~2010年を使って実際の不況耐性を検証する方針を決めました。
今回はその続きです。現在の財務が良い企業でも、過去の大きな景気後退で業績が崩れていた企業はあります。そこで、当時までさかのぼって比較できる企業について、売上高と営業利益を中心に確認し、独自基準で20位から11位までを並べました。
※本記事の順位は将来の株価上昇や投資収益を予測するものではありません。株価の強さではなく、2007~2010年前後の「事業業績の耐久力」を比較した独自評価です。
景気後退に強そうな115社はどんな業種? リーマンショックを2007~2010年で検証する準備
今回のランキングで見る4つのポイント
評価の軸は前回決めた4項目です。①最大売上高減少率、②最大営業利益減少率、③営業赤字への転落有無、④2010年度までの回復力です。特に今回は「営業赤字に落ちなかったか」を重く見つつ、利益の落ち込み幅と回復の速さを合わせて順位を決めています。
なお、企業によって決算月が異なるため、暦年を完全にそろえた比較ではありません。また、組織再編・決算期変更・会計表示の変更がある企業は単純比較しにくいため、数値だけで機械的に順位を決めていません。

20位~11位を一覧で確認
| 順位 | 企業名 | コード | 最大売上減 | 最大営業利益減 | 赤字 | 2010まで |
| 20 | HOYA | 7741 | 約16.4%減 | 約37.8%減 | なし | 未回復 |
| 19 | 日産化学 | 4021 | 約11.9%減 | 約29.6%減 | なし | 一部回復 |
| 18 | ユー・エス・エス | 4732 | 約14.3%減 | 約19.3%減 | なし | 未回復 |
| 17 | TKC | 9746 | 約2.6%減 | 約13.7%減 | なし | 未回復 |
| 16 | オービックビジネスコンサルタント | 4733 | 約10.3%減 | 約20.6%減 | なし | 利益回復 |
| 15 | ソフトウェア・サービス | 3733 | 比較注意 | 約28.2%減 | なし | 回復 |
| 14 | 参天製薬 | 4536 | 約1.7%減 | 約23.9%減 | なし | 回復 |
| 13 | フューチャー | 4722 | 約19.6%減 | 減少なし | なし | 利益回復 |
| 12 | 日本M&Aセンターホールディングス | 2127 | 基準年割れなし | 約6.6%減 | なし | ほぼ回復 |
| 11 | 日本新薬 | 4516 | 基準年割れなし | 基準年割れなし | なし | 回復 |
※減少率は原則として2008年度相当を基準に、2009~2010年度相当の通期値で確認した概算。決算期変更などで単純比較できない企業は「比較注意」としています。

20位 HOYA(7741)
精密・光学関連。大幅減益でも営業黒字を維持。
2008年3月期の収益は約4,816億円、営業利益は約951億円。2009年3月期に営業利益が約591億円まで落ち込み、2010年3月期も約643億円と2008年水準には戻りませんでした。それでも営業赤字には転落していません。景気敏感な要素を持ちながら、黒字を維持した点を評価しました。
19位 日産化学(4021)
売上・利益とも落ちたが、2010年3月期に営業利益は反発。
売上高は2008年3月期約1,692億円から2010年3月期約1,490億円へ低下。営業利益は2009年3月期に約174億円まで落ちましたが、2010年3月期には約192億円へ反発しました。完全回復ではないものの、利益を確保し続けています。
18位 ユー・エス・エス(4732)
中古車オークション。利益の落ち込みは売上より小さかった。
売上高は約698億円から約598億円へ減少しましたが、営業利益は約272億円から約219億円にとどまりました。中古車流通も景気の影響を受けますが、高い利益率を保ちながら黒字を維持した点が特徴です。
17位 TKC(9746)
会計・税務関連サービス。売上の落ち込みが非常に小さい。
売上高は2008年9月期約547億円に対し、2009年約533億円、2010年約534億円と小幅な減少にとどまりました。営業利益は約70億円から約60億円まで低下しましたが、事業規模そのものはかなり安定していました。
16位 オービックビジネスコンサルタント(4733)
売上は減少した一方、2010年3月期の営業利益は2008年を上回った。
売上高は約176億円から2010年3月期約157億円まで減少しました。一方、営業利益は2009年に約46億円まで落ちたあと、2010年には約64億円へ回復し、2008年の約57億円を上回りました。利益面の回復力を高く評価しています。
株式投資を始めるための証券口座もチェック
当ブログで紹介した企業は「今買うべき銘柄」という意味ではありません。実際に投資するときは、現在の業績や株価、PER・PBRなども確認したうえで判断することが大切です。
これから株式投資を始める方は、証券口座を用意し、まずは少額から企業や株価の動きを見ていく方法もあります。
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15位 ソフトウェア・サービス(3733)
医療情報システム。決算期変更があり売上の単純比較には注意。
2009年4月期の営業利益は約8.5億円と、2008年4月期の約11.8億円から減少しましたが、2010年4月期には約18.1億円まで回復しました。ただし、この時期は決算期に関する表示が複雑なため、売上高の比較は他社より慎重に見る必要があります。
14位 参天製薬(4536)
売上はほぼ横ばい。2010年3月期は売上・営業利益とも2008年を上回った。
売上高は2009年3月期に約1.7%減と小幅な低下にとどまりました。営業利益は約24%減少したものの、2010年3月期には約296億円まで増え、2008年の約204億円を大きく上回っています。医薬品という需要特性も考えると、不況耐性を考えるうえで興味深い企業です。
13位 フューチャー(4722)
売上は減ったが営業利益は2008→2010年で増加。
売上高は2008年12月期約282億円から2010年約226億円まで減りました。それでも営業利益は約26億円→約26億円→約31億円と維持・増加しています。売上減少下でも利益を守った点が、このランキングで高く評価したポイントです。
12位 日本M&Aセンターホールディングス(2127)
2009年に伸びた反動はあるが、2010年も2008年水準をおおむね維持。
2008年3月期の売上高約34.2億円・営業利益約14.6億円に対し、2009年は増収増益。2010年は前年から減少したものの、売上高約36.6億円、営業利益約13.6億円で営業黒字を維持しました。景気後退下でも利益水準の崩れが比較的小さかった企業です。
11位 日本新薬(4516)
2009年に増収増益、2010年も2008年の営業利益水準を維持。
2008年3月期の売上高約594.5億円、営業利益約64.6億円に対し、2009年は増収増益。2010年も売上高約629.3億円、営業利益約64.6億円で、少なくとも2008年の利益水準を維持しました。今回の20~11位の中では、売上と利益の両方が特に安定していた企業です。
20位~11位を見て気づいた3つのこと
まず、売上高が減っても営業利益まで同じ割合で減るとは限りません。フューチャーやオービックビジネスコンサルタントのように、売上が落ちても利益を維持・回復した企業があります。
次に、医薬品や会計・業務システムなど、景気が悪くなっても利用を急にゼロにしにくい商品・サービスを持つ企業が目立ちました。ただし「業種だけで不況に強い」と決めつけるのは危険で、同じ業種でも利益の落ち方は企業ごとに違います。
そして最も重要なのは、現在の財務指標が優秀だからといって、過去の不況でも必ず強かったわけではないことです。今回のように現在のスクリーニングと過去の実績を組み合わせることで、数字を見る角度が一つ増えます。

次回はいよいよ10位~1位
今回は20位から11位までを見てきました。ここまででも、営業赤字を避けただけでなく、リーマンショックの最中に利益を伸ばした企業があることが分かります。次回はさらに上位の10社を取り上げます。どんな事業を持つ企業が上位に残ったのか、そして共通点があるのかを確認していきます。
なお、このランキングは「今買うべき株ランキング」ではありません。現在の株価、PER・PBR、今後の業績見通しなどは別の論点です。過去の不況耐性は企業を見る一つの材料として使い、投資判断は複数の情報を確認したうえで行う必要があります。


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